
作者の牛野小雪です

助手のニア・タスマだぜ

ここでは『生存回路』の表紙が
どういう経緯で描かれたのかを解説していきます

最初に考えていたのは大量の河童が表紙を
埋め尽くしているという案だったのですが、
作者の腕が拙すぎたので、河童という字を敷き詰めました。
でも河童だと字面が重すぎるので
アルファベッドでKAPPA,kappaと
大文字小文字を交互に書き、
コピーを繰り返しました。
こんな風に


で、KAPPAkappaの隙間には登場人物の名前もアルファベッドでいれて、最後に『生存回路』と目立つように白い字で入れる。あんまり良い感じはしなかったけれど、ひとまず仮案ぐらいにはなりました。こんな感じ


生存回路の部分がはっきりとしないので、
文字の下に色を塗って目立つようにしました。
それと文字や背景の色も色々試して、
最終的にはこうなりました。


ケバケバしいな

目立つことは正義
ちなみに生存回路の字は見た人がひっかかるように、
辺と辺の間を空けています


ああ、なんか妙だと思ったのは、そのせいだったのか。

しかし、この題名を入れるというのが曲者で、
どこへ入れてもしっくりこない。
そもそも絵を描いた後に入れるから、
どうしても絵のバランスが崩れてしまうから。
それで考えたのがこれ!


絵の邪魔になるから題名も作者名も絵の外側。
文字もアルファベッドを認識してしまうと汚く見えるので、
思い切って河童を描いてみました。

すっとんきょうな顔で力が抜けそうだな

ええ、
でも刀を打ち合う世界観にはふさわしくないので、
殺伐とした感じに描きなおしました。


大きくお口を開けて読者を飲み込もうとしている河童です。
しかし、河童と知らなければ奇妙な抽象画にしか見えない。
でもそれが新しい発想を生んでくれました。
なら、抽象画で表現してみようと。
それでできたのがこれです。


あ~・・・・つまり、どういうことだ
Tポイントカードみたいになってるぞ

河童の肌の緑、空の青を河童のくちばしが挟んでいるんです

何となく分かった。
三色だけで世界観を表しているんだな

そうです。
でも緑は必要ないかもしれないと考えました。
青と黄色の二色だけで、
青と黄色の間にある緑を感じさせられるのではないかと。

自分の顔色を鏡で見たな

それで描いたのがこれ


ぐるぐるばっかりじゃねえか

救世主の到来を祈る河童達の抽象的な絵なんです
でも黄色がくどい感じがしたので一本だけにしてみました

ぐるぐる三つは作中に出てくる
家老の水谷、美しい稲姫、美侍竜丸のメタファーでもあり、
河童達のメタファーでもある。
これほど精神性の深い表紙はありませんよ。

へぇ、殺風景な表紙にもちゃんと意味があるんだな

理論派ですからね

じゃあ、それぐらい自作を解説しろよ

・・・・・・

お前って、そういう奴だよ!
(おわり)