ペンギンと太陽 リリース記事

2021年10月10日にリリース予定です。

ペンギンと太陽/牛野小雪

 ルル子さんは世界をまたにかける鮫島商会の一人娘で超お金持ち。
そんな2000年に1度のヴィーナスと僕は結婚する。
伝説を作ったり、赤ちゃんができたり、戦争があったりもするが新婚旅行で北極にオーロラを見に行った二人は氷床を目指す巨大なクジラの影を見る。

ペンギンと太陽 試し読み
『ペンギンと太陽』の読者ページ
『ペンギンと太陽』が書けるまで

牛野小雪のページ

冒頭を少しだけ

1 火星のペンギンは人間のふりをする

 南国の正午に太陽は音もなく地上を焼き、一切の影を蒸発させる。南極では沈みかけの太陽が一日中浮かび、大地は一年中雪と氷に覆われている。そこはあまりに寒すぎるので世界中で猛威を奮ったコロナウイルスでさえ小さく縮こまっている。いつかは氷が溶けて、生物大爆発の時が来るかもしれないが今は命が凍る白と青の世界だ。しかしどんなものにも例外がある。皇帝ペンギンだ。彼らは子どもを産む時期になると、海から上がり、氷の上を何十キロも、時には百キロ以上も歩いて南極の営巣地を目指す。人間なら子作りのたびに夫婦揃って冬の富士山に登るようなものだ。そんなことをした夫婦は神話の世界でも見つからない。しかも彼らは出産後もヒナが大きくなるまでは雪と氷の世界に立ち続ける。オスは半年近くも飲まず食わずだ。それどころか体から絞り出した栄養をヒナに与える時もある。飲む方は雪があるのでしのげるかもしれないが食べ物は本当に何もない。南極はウイルスさえ育たたない不毛の大地だ。どんな動植物も存在しない。唯一の例外は、でっぷり太った同族達だが皇帝ペンギンはどんな苦境に立たされても(しん)()の振る舞いを崩さない。きっとイギリス人はペンギンから進化したに違いない。(えん)()(ふく)を発明したのはイギリス人だ。あの服はどこかペンギンに似ている。先祖の姿がDNAに刻まれているんだ。ペンギンブックスはイギリスの出版社だ。疑う余地はない。イギリス人は(じん)(るい)ではなく(ちょう)(るい)だ。日本人も(めい)()()(しん)(ブン)(メイ)(カイ)()が起きると燕尾服を着るようになったが、それ以前は(もん)(つき)()(おり)(はかま)だった。あのふさふさした感じはニワトリそっくり。()()()はトサカの()()り。日本にニワトリブックスはないが『ひよこクラブ』という雑誌はあるので『ニワトリクラブ』もきっとあるだろう。もちろん日本人も人類ではなく鳥類だ。それだけじゃない。アメリカ人も、中国人も、どこの国の人間もみんな鳥類だ。


 こんなことをいうと科学界から()(たん)(しん)(もん)にかけられそうだが人間が猿から進化したなんて絶対に間違っている。恐竜→鳥→人間と進化したに違いない。三種の共通点は二足歩行。トリケラトプスみたいな草食恐竜は四足だが肉食は二足だ。このことから人間はティラノサウルスやラプトルの系列だと推測できる。どちらも恐竜界の人気者だ。


 動物園で猿と鳥の数を比べれば鳥が多い。ペットでも猿より鳥が多いはずだ。肉の生産量もたぶん鳥が一番多い。この人間の奇妙な鳥好きな傾向は人間が鳥類である証拠だ。もし科学界に詰められたら僕はすぐさま論破されるだろうが最後に『それでも人間は羽ばたいていた』と叫んでやる。


 ガリレオ・ガリレイは地動説を唱えたために、異端審問にかけられ、最後はひざを屈しなければならなくなった。今となっては異端審問が非難されているがガリレオが生きている間は彼の方が非難されていた。現代では名誉を回復して科学界の(ヒー)(ロー)になったが彼個人の人生は悲劇でしかない。でも地動説だって怪しいものだ。異端審問は間違っていたがガリレオだって間違っているかもしれない。本当は地球も太陽も止まっていて自分の目が回っているだけかもしれない。

ペンギンと太陽 試し読みでもう少し読む

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