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牛野小雪の小説season1

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kindle unlimited,オーナーライブラリーで読めます。
牛野小雪の小説season1 内容紹介 牛野小雪の小説Season1の中長編を一冊の本にまとめた物です。

【火星へ行こう君の夢がそこにある】
火星行きのパイロットを募集する広告があらゆる媒体で流された。帰還すれば報奨金が一億円。
兄の次郎が勝手に応募書類を送ってしまったので一郎はテストを受けることになった。
彼は試験を落ちるつもりで受けたのだが、何故かそれに受かってしまったので一人で火星へ行くことになる。

【ドアノッカー】
恵は玲美の電話を受け、電話越しにドアをノックする音を聞く
微かな悲鳴とうめき声。それが最後に聞いた彼女の声だった。
玲美が死ぬと今度は恵の耳にドアをノックする音が聞こえ始めた。

【蒲生田岬】
絶対に忘れられない人がいる。これから先もずっと……
秀子と奈津美は電撃の友情で結ばれた二人。これから先もずっとこの友情が続くと思っていた。
ひょんなことから奈津美はモデルの仕事をしたけれど、それが破滅の入り口だとは気付かなかった。
奈津美は死んで、秀子は謎のメールに悩まされる事になる。

【グッドライフ高崎望】
高崎望が入った上等高校は不良が集まる危険な学校だった。
避けられない理不尽な暴力。頼れない大人たち。
彼は自分を守るために自分を変えることにした。

【真論君家の猫】
クロスケは金目の黒猫。母上や兄弟達と違って頭から爪先まで黒い。
とある四角い部屋をこの世の全てにして暮らしていたが、
ある日兄弟が一匹、二匹と部屋の外へ連れ出されて帰ってこなくなった。
外の世界には何があるのか。
牛野小雪について

エバーホワイト 試し読み

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エバーホワイト/牛野小雪 5‐1 真面目な女の子はモテない(そんなことはない)
「ただいま」

 仕事から帰ってくると、正文は部屋の中に声をかけた。心なしか狭くなったような気がする。

「おかえり」と長谷川さんの声が返ってくる。キッチンで何かを炒めている音がする。彼女は一昨日から正文の部屋にいた。

 部屋に入るとダンボール箱がいくつかあった。一度自分のところに戻って、色々持ちこんできたようだ。

「すぐに片付けるから。しばらく我慢して」

「何作ってるの?」

「おかゆじゃないよ」

「それは分かるけど」

「できてからのお楽しみ。もうすぐできるから着替えてきて」

 仕事から帰ってきても着替える習慣はなかった。風呂に入るまではスーツを脱いでいる。風呂に入ればパジャマだ。部屋着など持っていない。休みの日も出かけない日はパンツ一枚で過ごしている。冬は体に毛布を巻いていた。服といえばよそ行きの服しかないのだが、長谷川さんの言う通りに着替えると「あれ、これからどこか行くの?」と彼女は驚いた。

「いや、服はこれしか持っていなくて」

「森君って面白い」

「そうかな、どこが?」

 長谷川さんはにんまりするだけで何も答えなかった。正文はよく分からないままTVを見ていた。それほど集中して見ていたわけではなく、ケチャップが焼けるにおいを嗅いでいた。

「できたよ~」

 夕飯には長ナスのナポリタンが出てきた。思わず声が出るほど美味いわけではないが、腹の中にぐっと染み込んでくる家庭的な味がした。

「今日は仕事どうだった?」と長谷川さんが訊いてきた。

「まぁ、そこそこかな」と正文は答えた。本当はかなり良かった。昨日からその予感はあって今日仕事へ行くとあっけないほどうまくいった。取引先では言葉が自然に出てきて、あと三回は訪問しなければと思っていたところを今日中にまとめてしまったところもある。

 それより驚いたのは、商談がまとまり雑談に話が逸れた時だった。今まではスーツの下に汗をかきながらこなしていたことが、今日は涼しい気持ちでやり通せた。それどころか話していること自体が面白いと感じた事さえある。

「森さん、調子良くなりましたね」

 今日は部下の“できるヤツ”からそんな言葉が出てきた。正文がちゃんと仕事をしたので声も表情も明るくなっていた。

「もう駄目なんじゃないかなって思っていたんですよ。先週なんてひどかっ…

真論君家の猫 試し読み

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真論君家の猫 上/牛野小雪 1 吾輩とはどんな猫?
 どんなものにも抜け道はある。法律、税金、就職活動。

 ぼくは家の外に出る抜け道を見つけた。猫でなければ通れないような小さな穴だ。もちろんどこにあるのかは秘密である。ぼくはその穴を通って家の外に出た。

 真論君家のすぐ後ろには山があった。それとは逆に家の前には道路があって、一段低い場所に畑が広がっていた。そこで真論君の父上と母上が腰を屈めている。そのさらに遠くには家が立並んだ場所があり、どうも一日では回りきれない広さだった。

 その日は家の周りを歩いているだけで一日が潰れた。真論君が学校から帰ってきたので、ぼくは家の中に戻った。

「ミータン」と真論君が呼んだので、彼の足元に駆け寄った。真論君はぼくを抱き上げてアゴの下を指先で撫でてくれた。頭の中が溶けていく。ノドがゴロゴロと鳴る。

 一通り撫で終わると、真論君はチカチカ光る板3を一心不乱に見つめ始めた。相手をしてくれないので「みゃあ、みゃあ」鳴いてみたが何の反応もない。どうやらあの光る板を見ていると耳が聞こえなくなるようだ。それならと彼の膝におでこや胴体を擦りつけてみると「いまちょっと忙しいから」とぼくを脇にどけた。

 母上は「もうやめなさい。馬鹿になるわよ」と言ったが全くその通りだ。口を半開きにして画面を見つめる彼の顔を見れば一目瞭然だ。彼の将来のために良くないことは明白で、このままでは目と耳をあの板に奪われてしまうだろう。頭の中まで駄目になる前に、今すぐ打ち壊してしまうのが正解だ。

「違うよ。本を読んでいるんだよ」

 真論君はそう言ったが、母上は「嘘おっしゃい。本なんか開いていないじゃない」と言った。

「母さん、古いよ。今じゃこれで本が読める時代なんだ。紙の本は教科書だけさ。あ~あ、教科書も電子化されたら良いのに」

「古くても何でも良いから、もうやめなさい。宿題はしたの? お父さんに言うわよ」

「はいはい」

 真論君はそう言って自分の部屋に戻ると宿題に取りかかった。さっきとはうって変わって向こうから遊ぼうとしてくるし、頼んでもいないのに撫でてくる。宿題という物が何かは分からなかったが、何も進んでいないことは分かった。そうして何もしないまま夕飯の時間になった。

 食事の席で父親は言った。

「宿題は終わったのか」

「やろうとはしたんだけどミータンが邪魔するから全然…

ターンワールド 試し読み

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ターンワールド上 この世が最悪の世界だと見抜いたタクヤは、 夜行バスに乗り徳島へ家出したが 彼の乗ったバスは徳島へ到着しなかった。

TURN WORLD1  最悪の世界 
 この世は最悪だ。

 証拠品A、B、C、D・・・・・。

 そこにまたひとつ証拠が積みあがる。

 朝から嫌な物を見た。タクヤは不採用通知を机の引き出しにしまった。同じような封筒は引き出しからあふれそうになっている。

 タクヤは大学へ行った。講義では一番前の席に座る。そこだと教壇にいる教授だけを見ていればいい。後ろで楽しそうにしている声は無視する。タクヤはいつしか聞きたくない声を無視できるようになった。

 自分が駄目人間ということは分かっている。だからといってそれを誰とも共有したくはないし、話したくもない。しかし駄目な人間だと認めて欲しいという気持ちもまたある。

 最近タクヤが考えることは誰もが認める権威のある人(そんな人に心当たりはなかったが想像上には存在する)からこう言い渡されることだ。

『君は人間的には悪くない人間だ。でも社会的には駄目人間だね。おっと、気を落さないでくれ。何もかもが駄目ってわけじゃない。ただ社会的有用性という意味においては劣等というわけだ。悪いのは君じゃない。君だって進んで駄目人間になりたかったわけじゃない。できることなら最高の人間になりたかったはずだ。でもこればっかりは巡り合わせだからしょうがない。世間では誰にでも無限の可能性があって、努力すれば何にでもなれるなんて嘘を吐くけれど、それを言う本人がどれだけ努力しても100メートルを9秒で走ることはできないし、永久機関を作って人類のエネルギー問題を解決することもできない。もって生まれた才能が誰にでもあるのさ。だけど連中は才能というものを認めても、努力すればそれなりにできるようになるなんて苦しい言い訳を続ける。だけど高い才能があるなら低い才能もあるわけで、人は才能以上の事はできない。世の中には100メートルを100秒で走る才能もあれば、エネルギーを無限に消費するだけの才能もある。それと同じで社会を良くする才能もあれば、駄目にする才能もある。君には社会を駄目にする才能があるようだ。だから社会へ出るのは止めてくれ。これはもう社会貢献だよ』

 世界が自分の事を駄目な人間だと認めてくれて、何の役割も持たないでいることが許されている世界。むしろそ…

ヒッチハイク 試し読み

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ヒッチハイク/牛野小雪
 1 ヒッチハイク
 僕の夏休みの第一日目は一日中眠ることだった。夜中の2時まで何をするでもなく、TVをつけたままマンガを読んだり、ネットを見たりして、意識の限界まで起きていた。

 たいていは朝7時に目が覚めて、そこからもう一度眠ると10時に目覚めて、さらにまた眠ると昼の2時になった。その頃になってようやく僕は布団から出た。

 朝から晩まで暑い日が続くので、火を使う料理を作る気にはなれなかった。電子レンジでうどんを温めて、水で洗い、麺つゆと、ねぎと、天かすを入れたぶっかけうどんを二杯食べた。そしてまた眠った。

 そうやって寝て起きての生活を三日続けると、体重が2キロ落ちた。僕は布団の上で、あくびをしながら体を大きく伸ばすと、また眠った。

 こうして一週間が過ぎた。僕はパンパンに膨らんだバッグを持って部屋を出た。徳島の実家に帰るのだ。

 僕が向かったのは空港でもバスターミナルでもなく郊外にあるコンビニだった。僕は緊張をほぐすためにコーラを一本買って飲んだ。それからコンビニの窓ガラスの出っ張りに腰を降ろして、気持ちが浮かれている人を探した。

 5分ほど待っていると本日一人目の浮かれている人を発見した。僕は腰を上げて、その人に話しかけた。目の奥の筋肉を広げて、口には笑みを。

「すみません、どこまで行くんですか?」

 男は赤の細いストライプが入った白のポロシャツにベージュのスラックスを履いていた。車の助手席から旅のにおいがしている。

「えっ、何ですか?」

 男はそう答えた。見ず知らずの相手に質問をされて素直に行き先を答える人がどこにいるのだろうか? そう思うのは世界を知らない人だ。僕の目の前にいる男は、そのすぐ後に「上野まで行くんだけど?」と疑問系で答えてくれた。

 意訳すると『僕は上野まで行くんだけど、一体何の用かね?』ということだ。上野という答えで、僕にとって彼は用無しとなったわけだが、粗末に扱うことはしない。アフターケアはどんな世界でも重要だ。

「ヒッチハイクをしているんです。徳島まで行きたくて」と僕は答えた。

「へぇ、ヒッチハイク! 徳島?」

「四国の」

 僕がそう言い足すと「あ~……」と男は間の抜けた声を出して空を見上げると「あぁ」と何かを納得したようにはっきりと声を出した。

 僕には彼の頭の中が透けて見えるようだった。徳島と言って、その…

『難聴製造機』~あなたはもう冒頭2000字を読まされている~

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難聴製造機(kindleストア) アジア大陸の東端にあるバナナ半島にバナナランドという小国があった。
かの国はウンコ爆弾という無慈悲な大量破壊兵器を開発・所持した。
連合軍は世界秩序のためバナナランドに侵攻。
バナナ半島に世界中の鉄と火薬が集まり、若者達の命が消費されていく。

作者の牛野小雪です

助手のニア・タスマだぜ

さっそくだが牛野。
この小説の表紙について教えてくれ

へっ、表紙の方ですか

誰もお前に小説の解説なんか期待してねえ
表紙の御託しか並べることができねえだろ

うっ、それじゃあ。
表紙の解説をしましょうか。

頼むぜ

今回の表紙案は冒頭を表紙に貼り付けて読者に読ませるというアイデアがありました。
こんな感じで


でもよぉ。今回の表紙はスポンジみたいな感じだぜ。

それも後で分かります。
上の画像の文章は行間が空きすぎていたので詰めてみました。


文章が重なっちまってるぜ

間違って行間をマイナス10ptぐらいにしたら、こうなりました。

ダメじゃねえか

いいんです。
これでピンときましたよ。
行間をもっと詰めて、文字間も詰めれば表紙ができると。
それでできたのがこれ


だけだ。が読めるだけだな。

でも模様っぽくないですか。

まぁな。インスタントラーメンに見えないこともないが。

それで冒頭2000字を同じような手法で文字間行間を詰めて表紙にしたのがこれ


『難聴製造機』の表紙を見た人は一瞬で冒頭2000字を読んでいるんですよ。
こんな画期的な表紙は牛野小雪の『難聴製造機』だけ!

ち・が・う・だ・ろ

へ?

これじゃあ何て書いてあるのか、全然分からねえよ
冒頭2000字どころか1文字だって読めやしねえ

いや~、凄いアイデアですねぇ~
自分でも凄いと思いますよ、本当に。

おい、難聴起こしてんじゃねえぞ

うわ~凄い!
こんな凄い小説は続きが気になりますよね?
じゃあ読みましょう。kindleで読みましょう。

ダメだ。こいつ勢いで乗り切るつもりだ。
この小説はクソ・・・・いや、最初からウンコだった。

難聴製造機、なんて小説!
牛野小雪をこれからもお願いします!

(おわり)
難聴製造機(kindleストア) 追記:何故全文ではなく冒頭2000字なのかというとAmazonの規約で公開できるのが全体の10%までだから。

難聴製造機は読んだよという方はこちらもどうぞ

Q2.遠い未来でソンナバナナは復興しているか

難聴製造機の記述問題です。
回答はコメント欄に書き込んでください。
正解も間違いもないので、お気軽に。
1コメント800字までです。
Q1.なぜバナナランド戦争は15年も続いたのか 難聴製造機に一言もの申したい